【長崎・上五島】上五島(中通島)1泊2日の教会巡りをご紹介します

こんにちは、つたちこです。
いろいろと計画を立ててきた1泊2日の長崎・上五島(中通島)の「隠れキリシタンの里をめぐる旅」。
ようやく教会巡りのご紹介です。

今回、短い滞在時間のなかで訪問できた教会は3か所でした。
順にご紹介します。

【そもそも】五島列島と隠れキリシタンの歴史(簡易版)

五島といえば、隠れキリシタン(潜伏キリシタン)の島として知られています。
隠れキリシタン(潜伏キリシタン)とは、江戸時代に幕府が禁教令を出してキリスト教を弾圧した後も、ひそかに信仰を続けた信者のこと。

厳しい取り締まりの中、信仰を捨てずに代々ひそかに伝えていき、長崎県や熊本県天草などで、続いていったのだそうです。

五島は、永禄9年(1566年)に来島した修道士によって多くの島民が洗礼を受け、天正4年(1576年)には五島の信者数は2000人ほどに増加したのだそうです。
ですが、禁教令がでたことで弾圧が強められました。

その後、寛政9年(1797年)人口減少した五島への移民政策が進み、大村藩外海地方(今の長崎県外海地区)のキリシタン農民たちが移住して、また島内に広まったのだそうです。
九州本土から離れていたことで、取り締まりが本土ほど厳しくなかったのだそう。

とはいえ、弾圧の歴史はひどいものがあったようです。

上五島 頭ヶ島教会

そして私は全然知らなかったのですが、「隠れキリシタン」は江戸時代だけでなく、明治時代になってからも迫害され続けていたのですね。
明治元年(1868年)に「五島崩れ」と呼ばれるキリシタンの弾圧事件が起こって、上五島エリア、下五島エリアの各地で収監、拷問が行われ、多くの殉教者が出たのだそうです。

そして明治6年(1873年)にようやく禁教令が撤廃されてキリシタンへの弾圧が終わり、ようやく自由に信仰できる時代になりました。
なので、五島にあるたくさんの教会は、そのほとんどが明治以降の弾圧がなくなった後に、信徒の皆さんによってつくられた建物たちです。

その流れで、今でも五島にはカトリック信者が多くいらっしゃるんだそうです。
またカトリック教とは別に、「カクレキリシタン」と呼ばれる、五島独自の進化を遂げた信仰を守っている方たちもいるそうです。

教会を訪問・見学するときのマナー

教会は、観光施設ではありません。
五島に住んでいる信者さんにとっての大事な祈りの場です。マナーを守るように心がけましょう。

最低限守るべきマナーは、こちら。

* 内陣(祭壇)の所は神聖な場所です。絶対に立ち入らないようにしましょう。
* ミサ(礼拝)は神聖な儀式です。写真撮影は止めましょう。
* 教会内での飲食や、タバコの喫煙は禁止です。
* 大声で騒いだり走り回るのもマナー違反。特に子供さんをお連れの場合は同伴者が気を配って見学するようにしましょう。
* 教会内にはいろんな物(祭礼品、装飾物など)があります。むやみに手を触れないようにしましょう。

こちらにさらに詳しく書かれています。
http://shinkamigoto.nagasaki-tabinet.com/junrei/basic/manner.cfm

また、通常時の内部の写真撮影も基本的に禁止です。
当ブログでは、教会の外観写真のみを掲載しています。

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冷水教会(ひやみずきょうかい)

さて、1日目の夕方に訪れたのは「冷水教会」。
中通島の北部にあります。

上五島 冷水教会 地図

冷水では五島崩れで迫害を受けた信徒は、逃れて戻ることはなかったらしい。 今の冷水のほとんどの信徒は、迫害後、近辺や平戸や下五島などから移住してきた人々であるという。 1907年にようやく、現在の木造教会が建つ。近くの丸尾郷出身の鉄川与助が棟梁となって初めて手掛けた教会である。
http://shinkamigoto.nagasaki-tabinet.com/junrei/943/

高台の上にある、小さな木造の教会でした。
最初、教会の場所に気づかず、そのまま通り過ぎてしまったくらい、さりげなく建っています。
崖の上にあるので、見つけにくいかもしれません。

また、道路から建物までの階段が急なので、足の悪い方にはちょっと厳しいかもしれません。

上五島 冷水教会

内覧時間は9時~17時。ミサなどの時間帯には見学できません。
が、この日は17時前だったのですが、閉館していて、教会の中は見ることはできませんでした。残念。

上五島 冷水教会

教会からは、穏やかな奈摩湾が一望できます。

上五島 冷水教会

頭ヶ島天主堂(かしらがしまてんしゅどう)

上五島 頭ヶ島天主堂 地図

頭ヶ島天主堂は、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の一部として登録申請されています。
また、2001年には国の重要文化財にも指定されています。

近くの石を切り出して作られた石造りの天主堂で、1917年に完成しました。

頭ヶ島天主堂の見学にあたっては、「事前に連絡」が必要です。
連絡は下記のページから、フォームで申し込みができます。

▼予約サイト
http://kyoukaigun.jp/visit/detail.php?id=16

中通島と頭ヶ島を結ぶ、頭ヶ島大橋をわたって、車で行くことができます。
ですが、頭ヶ島天主堂も、少しわかりにくい場所にあります。

ナビに住所を設定してくねくねとした山道をずっと走ったのですが、教会のある場所への道がよくわからなくて、「行き過ぎた?」「迷った?」と何度かうろうろして、ようやく行きつきました。

車で行くと、現地にいた方に案内されました。
駐車場は教会のすぐ目の前ではなく、ぐるりと海側に回ったところに用意されています。私たちの他に見学者はいなかったため、静かにゆっくり見て回ることができました。
(そろそろ帰るか、というタイミングで、観光バスに乗った団体さんが来たので、タイミング次第ですね)

上五島 頭ヶ島天主堂

石造りの教会は、国内でも珍しいものなのだそうです。

上五島 頭ヶ島天主堂

中に入ると、花をかたどったステンドグラスがありました。
また、白い花(椿?)のかざりもたくさんあり、全体に白、水色、ピンクといったパステルトーンでかわいらしい印象でした。
外の石造りの重厚さと、中のかわいらしい印象のギャップがいいですね。

明治にあった「五島崩れ」では、頭ヶ島の多くの信者も拷問を受けたのだそうです。
教会の外には、その拷問に使用した石が石碑として置かれていました。

上五島 頭ヶ島天主堂

教会を出て海のほうに向かうと、海辺に墓地がありました。
こちらの信者さんのお墓でしょうか。

上五島 頭ヶ島天主堂そばの墓地

日本風の墓石が並びますが、上に十字架がのせてあります。

上五島 頭ヶ島天主堂そばの墓地

海辺には小さな公園とベンチもあるので、ゆっくり海を眺めるのもいいかもしれません。

上五島 頭ヶ島天主堂そばの海

【2018年4月より「頭ヶ島パーク&ライド」開始】
私たちが訪問したときは車で直接行けたのですが、2018年4月から「上五島空港からシャトルバス等に乗り換え」という方式に変わったようです。
集落の環境保全が目的だそうです。
実際に行かれるときには、最新情報をご確認ください。

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中ノ浦教会

国道384号沿いにある、かわいらしい木造の教会です。1925年建立。
中通島の南西側、若松島に行く方面にあります。

上五島 中ノ浦教会 地図

入り江に建っていて、港の水面に映る姿が美しい教会です。

上五島 中ノ浦教会

内部も見学させてもらいましたが、白い壁に真っ赤な椿をモチーフにした木製の飾りが並び、とても美しい教会でした。
椿の花は、花が落ちる様子を殉教者に例えたものと言われていて、長崎の教会堂によく使われるモチーフだそうです。

上五島 中ノ浦教会

また、外の庭にはマリア様が祀ってあって、その周りにはつるバラの木がありました。

上五島 中ノ浦教会

私たちが行った11月には葉っぱだけでしたが、きっと春になると花に囲まれてより一層美しくなりそうです。

以上、3件の教会のご紹介でした。
もう少し、何か所か巡りたかった気持ちもあります。
それはまた次回の楽しみに……。

五島列島と「沈黙」

「隠れキリシタン」というと、遠藤周作の小説「沈黙」が思い浮かびます。
「沈黙」は島原の乱が収束した後の話だそうなので、寛永15年(1638年)ごろの五島が舞台になっています。

そして2016年には「Silence」として映画化しています。

映像がある分、小説以上に生々しく、拷問のシーンなど目をつぶりたくなるようでした。
重くて、息苦しさがあります。
でもこういう現実があったのだなと、観てよかったと思った映画でした。

もし五島の教会群を見にいくのであれば、事前に小説や映画を見ておくと、印象が全然変わるのではないかなと思います。

さて。次回は、旅のメインといっても過言ではない「キリシタン洞窟」をご紹介予定です。

(続きます)

(追記)「キリシタン洞窟」を紹介した記事を公開しました。

 

 

 

参考
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
http://kirishitan.jp/